企業提携(アライアンス)の基礎知識

企業提携の定義――企業どうしが手を組むこと

 企業提携とは「企業と企業がシナジー効果を期待して行う、相互協力」であり、経営戦略の一手段として積極的に利用されつつあります。企業提携は手段であって目的ではないので、目的にあった効果が得られるように、下記のようないろいろな形態が利用されます。

 

企業提携の分類――資本の移動の有無で2つに分類
企  業  提  携
業務提携(アライアンス) 資本提携(いわゆるM&A)
技術提携 生産提携 販売提携 少数資本参加
という
資本提携
株式取得
(株式交換を含む)
営業譲受
(会社分割・分社を含む)
合併
(株式移転による事業統合を含む)
ライセンス契約を結び技術を利用する OEM契約を結び生産する 販売契約を結び販売する 株式持合など友好関係を築く 株式を取得して経営支配権を握る 工場など一部の資産を買収する 合併する

*少数資本参加とM&A(狭義の資本提携)を含めて、広義の資本提携と呼ばれることがあります。

 企業提携は資本移動(すなわち、株券そのものの売買や増資による株式持株割合の変動のほか、99年10月から登場した株式交換という新しい形態も含めることができます)を伴うか否かによって大きく2つに分類されます。
 資本移動を伴わない企業提携は「業務提携」と呼ばれ、一般には単に「提携」と呼ばれています。これに対して資本移動を伴う企業提携は「資本提携」と呼ばれ、これが一般にM&Aと呼ばれるものに該当します。

企業提携と資本移動――資本提携が究極の提携

 企業提携を資本移動の有無によって分類したのは形式的な問題で、実際には株式の売買や、持ち株比率の変化に伴う「経営支配権の移動」があるか否かが、企業提携を見るもっとも重要なポイントになります。通常「経営支配権の移動」がある場合には、株式などの資本移動があるために、このような分類になります。
 M&Aという言葉も、Merger and Acquisitionの略で、Mergerは合併、Acquisitionは取得の意味で、企業の取得、すなわち経営権の取得を指します。
 企業が企業提携をしたいと言った場合、一般的には資本移動を伴った「資本提携」まで考えているのであれば相当真剣であると言えます。

M&Aの典型的パターン――株式移動と社長人事は切り離して考える

 

M&A前
  買収側(買い手)上場会社 被買収側(売り手)オーナー会社
株主 一般投資家が持つ オーナー一族が持つ
経営者 従業員の中から出る オーナー社長

 通常のM&A案件では、「資本移動」と「経営支配権の移動」とがほぼ同じ意味を持つことになりますが、ここでその仕組みを簡単に説明します。

 ここでは説明のためのモデルとして上場会社が、非上場のオーナー会社をM&Aする場合を想定します。M&A前では、左図のように、上場会社の場合には、株主と経営者がハッキリと別れているのが一般的です。

 これに対して、非上場のオーナー会社の場合には、オーナーは株主であり、かつ経営者です。さらに、従業員も一族からの縁故採用が多かったり、オーナーのご子息が次期社長候補として取締役になっているケースが多く見られます。

M&A後
  買収側(買い手)上場会社 被買収側(売り手)子会社になる
株主 一般投資家が持つ 買収側上場会社が持つ
経営者 社長の子息又は従業員の中から出る 2〜3年後、元のオーナーからバトンタッチされて買収側上場会社から派遣

 

 経営支配権を握るというのは、実際には経営陣つまりやろうと思えば、社長以下取締役までの人事権を握ることができるということです。
 取締役の人事は株主総会で決められます。株主総会は1株1票です。株主総会で過半数を取れば取締役を選任でき、2/3超を握れば取締役を解任できます。したがって、買収側は被買収側の株式の過半数、出来れば2/3超を握ることによって経営陣の人事権を握ることができます。






株式過半数の取得
経営陣の人事権の獲得
経営陣の派遣
経営の支配

 もちろん、少数資本参加といって、議決権の50%に満たない資本参加でもありますが、これは企業間の友好関係の樹立のために使われることが多い手法です。株式相互持合いがその典型例です。

 日本での友好的買収の場合には、株式取得の直後に旧経営陣の首を全部切って、新しい社長を派遣するケースはほとんどありません。現実には、当初は管理担当の役員など、少数のみがM&A後に派遣され、徐々に時間をかけて経営を引き継ぎ、引継の最終段階で新旧社長の交代を行うパターンが一般的です。

M&Aの動機――売り手の動機は後継者対策と資金難が多い

 企業がM&Aを行おうとする場合の目的・動機は様々です。

 買い手側は、経営戦略の一貫として本業の強化や本業周りの関係する事業への進出のためにM&Aを検討します。この場合には、M&Aによって 

(1)時間の短縮
(2)リスクの軽減

などのメリットが得られます。
 つまり、買い手は目的がはっきり決まっており、その実現の手段の一つとしてM&Aが検討されます。

M&Aの動機・目的
買い手側 経営戦略の一環
売り手側 救済・支援を期待
後継者・相続税対策
経営戦略の一環

 これに対し売り手側は、「オーナー会社だが後継者がいなくて困っている」という後継者対策型や、「業績不振で資金繰りも苦しい。どこかに助けてもらいたい」という救済型など、目的というより動機に近い要因から「会社を譲ろう」と考える場合が多くあります。
 また、「会社支配権は譲らないが、大手企業と資本提携して、もう一段の成長を図ろう」という成長戦略型の提携を考えるベンチャービジネスの経営者もおり、広い意味での売り手側の動機と言えます。

企業提携の成功の条件―双方にメリットのある友好的M&A

 日本では、企業提携を経営戦略の一環と見る考え方は最近定着してきました。しかし、敵対的なM&Aは「乗っ取り」と見られ、成功した例はあまりありません。つまり、日本でのM&Aの成功の条件は、友好的アプローチであると言えます。
 また、友好的なM&Aの場合に大切なことは、買い手側、・売り手側の双方にメリットが生じるように、相手方企業が見つかるかどうかということに尽きます。
 このためには、買い手側・売り手側のニーズとシーズがうまくかみ合う相手先を、より広い多数の候補の中から選定することが大切になります。

 次の図は「新規事業分野にM&Aによって進出しよう」とする上場企業のニーズと、「後継者がいないので、しっかりした上場会社に会社の経営をお願いし、オーナーの持つ株式も買い取ってもらって、相続税対策にもしたい」というオーナー会社のニーズとがうまくかみ合い、友好的なM&Aが成功した例です。

 企業提携の手順はこちらをご覧下さい。


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